人気ブログランキング | 話題のタグを見る
100スキでシーズニング
ダッチオーブン(以下DO)やコンボクッカーなどの購入時のメンテナンスについて書いてみる。
今回はめんどくさいのがちょっとイヤなので横着するため100スキ+屋内で説明します。
そしてはじめに、鋳鉄のDOで気を付ける事を先に箇条書きしてから本題に入ります。

■ 高温になっている状態から水などに浸けて一気に冷やすと割れる事がある。
■ 鋳鉄はいちど温まるとなかなか冷めにくく火傷しやすいので取扱いに注意。
■ 使用後は洗剤を使ってはいけない。"たわし"とか"ささら"でごしごし水洗い。
■ 使い終わって保管するときは軽く空焼きして水気を飛ばし薄く油を塗り錆び防止。

鉄製品の中でも、特に鋳鉄の場合はとても錆びやすいので、大抵の新品のDO等は、錆び止めのため表面にパラフィン(蝋)などでワックスコーティング加工してあります。そのままいきなり調理するとコーティングが溶け出してしまいます。そのほかにも錆びにくくする理由もあって、シーズニングという作業をしなければなりません。


1. 焼き入れ処理
(写真: 左は新品コーティング有り、右は焼入れしたもの)
100スキでシーズニング_c0135735_22485422.jpg
焼き入れといっても鍛造の炭素鋼で作る刃物の刃付けと意味合いは違うものです。
今回はコーティングを焼き飛ばして剥がす事と、鋳鉄の特性として鬆(す)が入っているので、その中の製造過程の工業油や不純物を取り除くのが目的です。この作業は「金気止め(かなけどめ)」と言い、鉄臭さを取り除いたり、焼入れによって油の吸い込みの良さや錆びにくさにも繋がる作業です。

ワックス落としのため洗剤で洗ったり、煮沸したりする事もありますが、直接ガスコンロでガンガン焼いても問題ありません。高熱の空焼きは、経験上では今のところ「及源の南部鉄製コンボクッカーで若干歪みが出たような気がするかも」てな感じですが、さほど影響はないと思います。もともとの鍋と蓋のすり合わせ誤差以内の範囲程度だと思います。

最初は焦げや焼きムラが出ますが、お構いなしに加熱していくと、だんだん青みがかったやや明るめな青灰色になって来ます(上写真右側)。そして不純物がすべて焼き飛んで青灰色が全体にムラなく均一になったところで火を落とします。このとき急いで水に浸けたりすると割れてしまう事もあるので自然に冷ましてください。それから、あまり高温すぎる温度で長時間焼き入れすると、まれに焼き跡が残るの場合がありますが、機能的には問題ありません。あと換気は忘れずにお願いします。


2. 油膜形成
(写真: オリーブオイル)
100スキでシーズニング_c0135735_22502458.jpg
まぁ食用なら何でも良いんですが、粘性もあって保護膜になるし、香りがあるので油分の劣化も気付きやすいのでオリーブオイルはお勧めですけど、あの独特の香りが苦手な人もいるのでサラダ脂でも何でもいいと思います。

(写真: 左は新品のまま、右はシーズニング終了後)
100スキでシーズニング_c0135735_22493630.jpg
空焼きしたあとですが、青みがかったそのままの温度でオイルを塗ってもすぐ油分がすっ飛んでしまいますから、それより低い温度でオイルをDOの裏と表に満遍なく塗ります。
その場合の温度の目安は、下表の「オイルが黒く焼き付く」あたりで、もうもうとノロシをあげながらガシガシオイルを塗りたくるのが手っ取り早いと思います。火傷注意!換気ヨロ。

あとは自然に冷まし、のちに野菜などを1,2回炒めて慣らせばシーズニングは終わりです。

調理を始めるとき、もしすでに保管期間が長いときは、塗った油が劣化してる場合を考え、DO一杯に水を張って沸かし、浮いた古い油をお湯ごと流し捨ててから調理して下さい。家でしょっちゅう使うような人は軽く水ですすぐ程度でいいと思います。

以降調理後は、たわし等でガシガシ水洗いしてから軽く空焼きして水気を飛ばしたらオイルを薄く塗って保存してください。あまり汚れがひどくなってしまった場合は、上記の「1.」からまたシーズニングしなおすと古い油分などの不純物飛んで最初の状態に戻ります。

洗う時ですが、金属たわしは折角の表面処理を削り取ってしまうのであまり良くないです。よそ様から聞いたアイデアですがおすすめなのは、あの靴を洗う時の柄が付いたたわしが意外と鍋底のカドにも届くし良い感じです。また、特別な儀式的要素を求めるわがままな貴兄は、雰囲気を出すために"ささら"を入手しましょう。衛生的にある程度で交換したほうが良いだろうし、壊れやすいけど100均でも入手可能です。ちなみにわたしはささら派です。
そのうち使いい込んで調子が上がってくるとシーズニングを簡略化しても錆が出なくなってきます。

熱変化とオイルの反応
[高温]
 ↓
鉄表面が溶解する(青灰色、±1500℃~)
 ↓
不純物が炭化する(焦げ剥離)
 ↓
オイルが黒く焼き付く(色だけブラックポット色)
 ↓
オイルの焦げ目が輪郭状に付く
 ↓
調理温度の適温
 ↓
調理温度不足(食材こびり付く)
 ↓
[低温]


■ 追記:ブラックポットと擬似ブラックポット
「使用後のシーズニングでブラックポットが剥がれた」という話を良く聞きますので、少し記述を追加します。
 シーズニング直後の油分を吸い込んだ新品は一見ブラックポット色の様に見えますが、ブラックポットとは四三酸化鉄皮膜による黒錆を指しますので、早期の段階ではブラックポットとは呼べず、熱変化した油分や食材の焦げ付きとの区別もつきません。
・ シーズニングによるメンテナンスでは黒錆の剥離は起きませんので、空焼きによって不純物を炭化させて剥離する手入れはある程度定期的に行ったほうが良いです。
・ 使用経年や使用回数を重ねると黒錆が構築されていきます。

この件に於きまして表記内に判別不能で紛らわしい記述がありましたので内容も一部分改訂しました。お詫びいたします。


「100スキ」について
(写真: 左は直径12cmのシェラカップ、右は15cmの100スキ)
100スキでシーズニング_c0135735_2250331.jpg
ダイソーなどの100均ショップで売ってる小さいスキレットを「100スキ」と言います。
直径15cmという小ささがキュートです。朝食のベーコンエッグやプチすき焼きなどの演出等に、小さくてかわいいフライパン型が故の特化した実用性が素敵だったりして、なかなか侮れないものがあります。100スキのファンサイトもあるそうで、入手も品薄なほど密かな人気商品らしいです。

しかしこれ実は100円じゃなくて200円に値上がりしたんだよなぁ…
でも…「200スキ」って言いづらいから、まぁいいか。
 
 
by ababs | 2008-06-09 01:16 | mono
<< ちゅらさん あるいみモップ犬 >>




by abab
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31